スラッジ回収装置って何に使う？おすすめのメーカーと用途を解説！

現代の工業現場では、効率と環境保護の両立が重要な課題となっています。
特に、工作機械から発生する微細な切粉、いわゆる「スラッジ」の処理は、これらの目標を達成する上で重要な要素です。
この記事では、スラッジ回収装置の種類・特徴、および実用例を通じて、液面に浮くスラッジの効果的な処理方法を紹介し、作業効率と環境保全の両立をサポートします。
技術者や管理者の皆様、効率的なスラッジ処理により、より良い作業環境の実現を目指しましょう。

□スラッジって何のこと？

現場で工作機械を扱う方は、一度はスラッジという単語を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
スラッジとは、工作機械の切削や研削加工中に発生する微細な切粉のことです。
これらはクーラント中に混ざり、液面に浮上し続けることでさまざまな問題を引き起こします。
具体的には、切削・研削工具の寿命の低下・悪臭の発生・機械の不具合・加工面の品質低下、そして清掃作業の困難さなどが挙げられます。

液面に浮上するスラッジは、油分と結合して沈みにくく、タンクの表面を覆いつくし、作業環境を悪化させます。
また、液中を漂うスラッジは、クーラントの流れが速い間は液中に留まりますが、流れが緩やかになると沈殿し始めます。

そして、沈殿するスラッジは、比重が重いために、タンクの底に溜まりやすい特性を持っています。
このように、スラッジは工業現場のさまざまな問題を引き起こす原因となっているのです。

□スラッジの種類と回収装置

スラッジを効果的に処理するためには、その特性を理解し適切な装置を選択することが不可欠です。
スラッジは主に、液面に浮く超微細スラッジ・液中スラッジ、そして沈殿スラッジの3つに分類されます。
ここでは、それぞれのスラッジの特徴と回収装置による回収方法について解説します。

1:液面に浮く超微細スラッジ

液面に浮く超微細スラッジは、沈むことなく液面を漂い続け、特に回収が難しい特性を持っています。
エコイット(SD-A/WD-A/MS-A)のような専用装置を使用することで、これらのスラッジを効率良く回収することが可能です。
このような装置は、液面に浮くスラッジを特定して回収し、クーラントの品質を維持するのに役立ちます。

2:液中スラッジ

液中スラッジは、クーラントによって洗い流され、液中や液面を漂いながらタンクの底に沈んでいきます。
この種のスラッジを効果的に取り除くためには、インラインのろ過装置やサイクロン、マグネットセパレータなどが用いられます。
これらの装置は、液中を漂うスラッジを物理的に分離し、回収するためのものです。

3:沈殿スラッジ

タンクの底に沈殿するスラッジは、比重が重いため自然に沈む特性を持っています。
このスラッジは、タンクの底に溜まりやすく、清掃が特に困難です。

ただし、スラッジバキュームクリーナーやスラッジキャッチャーのような専用装置を用いることで、タンク底のスラッジを効率的に取り除くことが可能です。
これらの装置は、強力な吸引力を持ち、タンクの底に溜まったスラッジを容易に除去できます。

□スラッジ回収装置の主なメーカー

工業現場でのスラッジ処理を効率化するためには、先進的な回収装置の活用が不可欠です。
ここでは、市場に存在する主要なスラッジ回収装置メーカーとその製品の中から、人気の回収装置とその特徴について簡単に解説します。
どのスラッジ回収装置を使うかで悩まれている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1:高温・腐食性浮上スラッジ回収装置『ADD-KSシリーズ』

エイチツー社が提供する『ADD-KSシリーズ』は、高温液やケミカル液中のスラッジや油を回収するための装置です。
このシリーズは、自吸式エアダイヤフラムポンプを採用し、特注フロートによる効率的なスラッジ回収を可能にします。
また、フロートやポンプの材質も多様に選択でき、特殊用途に対応する豊富なラインナップを誇ります。

2:スラッジ回収装置『スラッジバキュームクリーナー ISKシリーズ』

育良精機社の『ISKシリーズ』は、タンクの底に溜まったスラッジを吸引するための装置です。
キャスター付きで移動が容易な設計が特徴で、エアー駆動式で電源を必要としません。
操作が簡単で、機械稼働中でも使用が可能です。

3:スラッジ回収装置『スラッジキャッチャー/SCA-180』

Winwell Japan社の『スラッジキャッチャー/SCA-180』は、家庭用掃除機感覚で操作でき、強力な吸引力を持つ装置です。
電気を使用せずに稼働し、さまざまな種類のスラッジに対応可能です。
コンパクトでキャスター付きの設計により、工場内のどこでも使用が容易になっています。

□まとめ

この記事では、工業現場で発生するスラッジの特性とその回収方法について解説しました。
液面に浮く微細スラッジ、液中を漂うスラッジ、そして沈殿するスラッジのそれぞれに適した回収方法と装置が存在します。
『エコイット』シリーズや『ADD-KSシリーズ』、『ISKシリーズ』、『スラッジキャッチャー/SCA-180』などの特化した装置は、工業現場におけるスラッジ問題の解決に大きく貢献しています。
技術者や管理者の皆様にとって、これらの情報が作業効率と環境保全の両立に役立つことを願っています。